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2021年11月27日

セガとMicrosoftの戦略的提携に関する考察(後編)

珍しく公私共に予定が詰まっており、忙しいぶってて更新が遅れてしまい申し訳御座いませんでした。
出先でもブログを書けるようにノートPCを調達したので、少しでも頻度上げられるといいな・・


さて前回の続きを書いて行きたいと思う。
間が空いてしまったので簡単に振り返りをさせてもらうと、ざっくり以下の2行となる。

・Azureとはクラウドのインフラ(サーバー)で、簡単に規模を拡張出来、冗長性に優れるサービス
・セガとMSの提携は、今後のゲーム開発・サービス展開におけるベースインフラとして、Azureを全力活用しますという宣言


ではここからが本題となる、Azureを活用して実現出来ることの考察になる。
本日の内容に限った話ではないが、本ブログではIT系ではない方も含め、難しい(風な)内容をなるべく噛み砕いて分かりやすくバーチャ勢に伝えたいことが趣旨となるため、専門職の方から見ると語弊がある表現もあると思うが、にわかSEの戯言ということでお目こぼし頂きたい。


考察①:社内の開発プラットフォームにAzureを活用

これは確実だろう。

「Microsoft Azureにおいてマイクロソフトの様々な技術を活用してタイトル開発を進めていくこと、ならびにマイクロソフトが保有するソリューションを活用しセガの次世代開発環境の構築を進めていくこと」
とあるように、Azureを活用した開発環境構築を進めて行くことを明言している。
「SuperGame」創出に当たってはグローバルタイトルとする必要があり、グローバルタイトルを産み出すには、グローバルで(=セガ各社が密に連携して)円滑に開発を行う必要がある。円滑に開発を行うには、開発インフラの整備は不可欠だ。

昨今の開発は規模が大きくなって行く一方、同じメンバーで複数プロジェクトを担当するというより、PJの立ち上げ→メンバー招集→リリース→解散という形式が増えている(認識)、その為、開発環境も素早く立ち上げ、終了後に規模を縮小することが必要になる。
前回の記事で「Azureは簡単に環境を拡張できることがメリット」と言ったが、これは開発環境についても当てはまり、容易に開発環境の準備が可能となるため、スタートアップの高速化が実現し、密度の高い開発が可能となる。

つまり、Azureを開発基盤に採用することにより以下が期待出来るということだ。
 ・より開発スピードが高速化(=早く新作が発売出来るようになる)
 ・より高い品質(=より面白いゲームが発売される)



考察②:XBOX Cloud Gamingの活用

XBOX Cloud Gamingをご存じだろうか。
Microsoftが展開している、サブスクリプション形式(月額定額)のクラウドゲームだ。
そしてMicrosoftはXBOX Cloud GamingのインフラにAzureを利用していると名言している(自社なのである意味当然)

今回のプレス発表では明確にXBOXへの特定タイトルのリリースについては言及されていない。
これを曲解すると、多数の過去IPをXBOX Cloud Gamingでリリースして行く、という可能性も否定出来ないと思われる。

セガが自社プラットフォームとしてAzureを採用、とは意味合いが異なるが、間接的なAzure利用という意味を込めて、XBOX Cloud Gamingへの展開はあり得る話だと思うし、過去バーチャファイターがリリースされる・・なんて展開もあるかもしれない。
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なお、XBOX Cloud GamingはXBOXで遊べるのはもちろん、PCやスマホでもプレーが出来るためコンソールを選ばないのも嬉しいポイントだ。

デメリットを上げるとすると、前回記事で触れた通り、クラウド(遠隔地のサーバー)で実行されたゲームを自身のコンソール画面に転送されるイメージとなるため、遅延が生じる。その為、格ゲーには不向きかもしれない。

 

考察③【本命】:自社の新作オンラインゲームのインフラとしてAzureを活用

前回ブログでも記載の通り、Azureはスケーラビリティに秀でているため、ユーザー数が突然想定の2倍、3倍になったとしてもAzureであれば迅速かつ柔軟にインフラを拡大出来、不要になった場合も容易に縮小することが出来るのが最大の特徴だ。

ここでバーチャファイターではなく「オンラインゲーム」と表現したのは、サーバー上で多くの処理を行い、大規模なデータを取り扱うゲームの方がよりAzure活用に適しているからだ。

と・・ここでAzureのゲーム開発事例を調べたら、なんとセガは既にPSO2でAzure活用を行っていた。
https://customers.microsoft.com/ja-jp/story/854435-sega-corporation-gaming-azure-jp-japan
既にMMOでAzure活用の実績があるということで、ここでは新作バーチャファイターでの活用ケースを想定したい。

先日フォグゲーミングと新作バーチャファイターについて話をさせて頂いたが、
ここにAzureを絡めることで、より強大なインフラを構築することが可能だ。


①大本となるゲームデータ、プレイヤーデータはAzureに保存

②Azureから各拠点(ゲームセンター)へゲームを配信(遅延対策)

③最寄のゲームセンターと自宅、ゲームセンター間を繋ぎ高速なオンライン対戦

④自宅でのプレイデータはスマホで持ち歩き可能。カードシステム撤廃。どこのゲームセンターでも同じデータを共有
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⑤世界各国のAzureとデータを同期。同じゲーム・同じデータを世界中で素早く展開・同期による地域間の格差を是正

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世界をAzureが繋ぎ、ゲームセンターが地域を繋ぐ。
我々は自宅に居ても、外出先でも快適に、常に同じゲームを同じデータでプレーが出来るようになる。

海外では(国内でもだが)ゲームセンターの店舗数は非常に限られていると思うが、本仕組みによりPCでもゲームが遊べる仕組みが整えば、集合施設の一角に設置したPC等のデバイスで皆で遊ぶことが可能になる。もちろん自宅と同じプレイヤーデータで。

私が店舗との同期(ゲーム・プレイヤーデータ共に)に拘っているのは、家でのプレー派とゲームセンターでのプレー派が完全に分断されてしまい、双方のコミュニティが交流するきっかけそのものが失われている現状が変わって欲しいと思っているからに他ならない。

キャラクター、アイテムの拡充。ゲーム性の調整。これらも非常に重要かもしれないが、ゲーム内容はリリースしてからでも改変出来るものなので取り返しがつく。
ゲームセンターに、バーチャの大会文化に育ててもらった自分としては、オフラインの楽しさを一人でも多くの人に知ってもらいたいと思う。それには家と外の垣根を無くすことが必要だと思うし、その為にはどこにいても同じゲームが遊べ、同じプレイヤーデータが利用出来るインフラを整えることにより、コミュニティの醸成を活発化するきっかけを与えて頂きたいと切に願うのである。

前回から長々引っ張った割にまとまりの無い&面白味のない記事となってしまったことをお許し頂きたい、、

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2021/11/27   カシン